2004年10月7日木曜日

1_32 冥王代1(2004年10月07日)

 地質時代のそれぞれの時代についてみていきましょう。まずは、地球の最初の時代、冥王代についてです。

 地球の最初の時代は、冥王代(めいおうだい)と呼ばれています。冥王代のはじまりは、地球の誕生です。それは45.6億年前のことです。一方、冥王代のおわりは、つぎの時代である太古代(太古代)のはじまりです。
 この太古代は、地球最古の岩石からスタートします。冥王代とは、最古の地層や岩石より前の時代になります。つまり、冥王代とは、地質学的な証拠となる岩石のない時代であります。
 ところで、この冥王代という呼び方は、日本固有の名前です。冥王代は、英語ではヘーディアン(Hadean)と呼ばれています。冥府の王プルートの住む黄泉の国、冥府のハーディス(Hades)の意味です。ですから、英語に忠実に従うなら、黄泉代(みよだい)あるいは冥府代(めいふだい)の方が、正しのですが、今では冥王代が使われています。
 太古代のはじまりは、1980年代までは最古の岩石や地層が出ていたグリーンランドの太古代の地層から、38億年前と定義されています。時代区分の境界は、一度決定されると簡単に変えられません。なぜなら、しょっちゅう変更していると、混乱が起きるからです。
 冥王代にはいるような岩石がある日見つかっても、そこまで太古代にしましょうとは、ならないのです。したがって、地質学的証拠のないはずの時代なのに、その時代の岩石が発見されるという矛盾が起きます。技術の進歩によって現在までに、多く地域から38億年前より古い岩石や地層が発見されるようになってきました。
 最古のものとしては、1989年にカナダのアカスタ地域から39.8億年前の岩石が発見されました。グリーンランドの38億年前の最古の岩石の記録を、一気に2億年もぬりかえたのです。その後、アカスタではさらに古い40億年前の岩石も発見されました。アメリカ合衆国、中国、南極などからも、38億年前ころの古い岩石が発見されてきました。
 現在、地球最古の鉱物は、ネイチャー(Nature)という科学雑誌の2001年1月11日号に掲載された西オーストラリアのジャックヒル44億0400万年前のジルコンという鉱物です。
 つぎに、冥王代の最初のできごとである地球誕生についてみていきましょう。まずは、地球の誕生の条件についてです。
 地球は、太陽系の形成の中に考えられるべきです。地球は、他の惑星と同時に、同じプロセスで形成されたはずです。地球にだけ特別な材料や生成環境などの条件は考えられません。太陽系自身も、特別な材料や生成環境は考えらません。
 地球の材料は、太陽系をつくったのガス(原始太陽系星雲ガスとよばれます)に含まれていた物質です。その物質には、3種類のもの見つかっています。・もともと宇宙にたくさんあった元素
・以前星を構成していて、その星が死ぬとき(超新星爆発など)にばらまかれた元素
・それ以外のプロセスでできた粒子:プレソーラーグレイン(粒子)
これらの素材が、混ぜ合わさって、地球のそして太陽系の材料となりました。
 ガスの中で、衝突したり合体が繰り返されて、元素は分子となり、分子は小さな粒子となり、しだいに大きなものへと成長していいました。ある程度の大きさになると、衝突・合体のときにおこる衝撃によって熱や圧力が大きく発生します。そのため原始惑星は、高熱の状態を迎えます。岩石が溶けて岩石の海(マグマオーシャン)ができるほど高温となります。
 その後、各惑星は、置かれた環境(太陽からの距離)と独自の性質(自転、公転、惑星の大きさ、大気)などによって、それぞれ別の変化をしていきます。つまり、地球には、地球の環境が形成され、地球の歴史がつくられていきます。

・地質時代シリーズ・
以前予告したように地質時代シリーズをはじめました。
月に1、2度の連載で、時代ごとの紹介を
しばらくの間、続けていきたいと思っています。
今回は、地球最初の時代、冥王代についてでした。
科学は技術の進歩によって、
飛躍的な展開を迎えることがあります。
石の年代を決める方法も、
数10ミクロンほどの小さいな試料でも
時代が決められるようになりました。
すると今まで測定できなかった試料でも、
年代が決められるようになってきました。
このような技術革新があると
年代測定の研究が一気に進むことがあります。
冥王代の年代データが
ここ10年ほどたくさん出はじめています。
国際的に年代を確定する作業で、
2004年にまとめられた論文でも
冥王代の終わり、あるいは太古代のはじまりは
まだ未定の時代となっています。

・冥王代という名称・
冥王代という名前は誰が付けたのでしょうか。
私もわからず、知り合いの磯崎さんという地質学者に聞いたところ、
自分がつけたといってました。
本当かどうかはしませんが、本人はそう話してました。
そのときは、その事実に驚いて、納得していたのですが、
今では、上で書いたように
黄泉代(みよだい)あるいは冥府代(めいふだい)の方が、
いいような気がします。
なぜなら、冥王という言葉は、
冥府の王プルートの訳として
すでに冥王星に使われているからです。
天体の名称と、地球の時代ですから混同することはないのですが、
黄泉代のほうが私は好きですが、そうはいきません。
一度決まって使われだしたものは、
むやみ換えたり、新しいものにすると混乱を招きます。
ですから、次に換える時は、
多くの人の合意の下に決めなければなりません。
一般的に命名権は、最初の言いだしっぺの役得となります。
磯崎さんは、その役得に浴しています。

・北海道の秋・
北海道の10月に入って、急に寒くなってきました。
とうとう我が家では、朝夕の冷え込むときには、
ストーブを炊きだしました。
北海道では、初雪のニュースがいくつも入ってきています。
今年の夏は、暑さと台風が北海道を襲いました。
しかし、夏の暑さも過ぎて、寒くなってくると、
懐かしいような気がします。
北海道はこれから短い秋を向かえ、
冬になります。冬の準備がはじまります。
そして、秋の収穫を楽しむ時期でもあります。
10月下旬なると、大量の白菜、大根が漬物用として販売されます。
我が家でも今年は漬物に挑戦しようと、
漬物樽2個と重しも買いました。
さてさてはじめのて漬物ですが、
うまくいくでしょうか。
ご近所のベテランにきいて挑戦してみましょう。