2004年4月30日金曜日

1_28 熱から年齢を求める(2004年4月30日)

 地球は、私たち人間一人一人にとっては、とてつもなく大きいものです。この大きさが、実は、大きな役割を果たします。大きなものは、冷めるのにも時間がかかります。そんな例を見ていきましょう。

 「地球はいつできたのか」という問題は、大きなナゾです。「地球はいつできたのか」とは、「地球の年齢」ともいえます。地球の年齢を探るために、多くの研究者は知恵を絞りました。そして、今でもよりよく知るために知恵を絞っています。
 かつて西洋世界では、キリスト教がすべての考えの中心となっていました。ですから、「地球はいつできたのか」という問題についても、キリスト教的な考えに基づいて、答えを求めました。
 その方法とは、キリスト教の拠り所である聖書を用いることです。旧約聖書には「創世記」の天地の創造からはじまり、神が地球になした歴史がすべて書かれてると考えられてきました。ですから、聖書を読めば、たいていの問題は解決できたのです。また、科学や学問全般の聖書というべきアリストテレスの学問体系があります。ほとんど疑問は、聖書とアリストテレスの考えで解くことができました。そのような学問をしてきたのが、スコラ哲学者たちでした。
 アリストテレスや聖書を読めば、そこに答えが書いてあったのです。聖書やアリストテレスがある限り、「地球はいつできたのか」というのは、問題ではなかったのです。答えのわかりきったものだったのです。そんな時代もあったのです。
 17世紀のアイルランドの大司教ジェームズ・アッシャーは、約6000年前の紀元前4004年10月13日に天地創造があったと計算しました。ライトフットは、さらに計算を進めて、紀元前26万4004年10月26日午前9時を地球誕生としました。
 このような聖書を拠り所にされる一方で、聖書やアリストテレスの記述で、科学的根拠を考えると、根拠がなかったり、希薄だったりするなどの問題があることがわかりはじめました。13世紀ごろから、聖書やアリストテレスなどの聖域ともいうべき分野で、知識の蓄積、観察の集積によって、問題が浮かび上がってきました。
 問題を地球誕生にしぼりましょう。最初に科学的な方法で、「地球はいつできたのか」という問題を考えたのは、かの有名なニュートンでした。最近ではよく知られるようになりましたが、ニュートンは、化学や錬金術の実験をさかんにしてました。その中に、熱した鉄が冷めていくことに関する実験がありました。この方法を地球に適用すれば、「地球はいつできたのか」を計算できます。ニュートンは、その結果から、地球の年齢を5万年と見積もりました。17世紀末のことです。さすがにニュートンです。考え方や数値は、今のものとはまったく違っていますが、論理的であります。
 その方法をより精密にしたのは、フランスのビュフォンでした。ビュフォンは、地球が熱い状態から、現在の温度まで冷めてきたという前提を置きました。いろいろな物質を暖め、その冷めるスピードを求めました。1778年に、その計算結果から、7万4800年前に地球ができたという報告しました。さらに、9万3219年後には地球が完全に冷めるという予測もしました。
 その後、イギリスの有名な科学者ケルビンは、いろいろな球状の物質の冷却時間を測定しました、さらに、もともと地球が熱くなったのは、重力によって収縮するという作用によるものだという別の考えを導入しました。そのような作用から考えると、地球の年齢は、2000万年から4億年となるとしました。1862年のことです。やたら誤差が大きい見積もりです。その後、1897年にケルビンは、この値を修正して、2000万から4000万年としました。余談ですが、ダーウィンは、「種の起源」の第6版(1872年)では、生物の進化には長い時間が必要で、ケルビンの2000万年では短すぎると考えていました。
 地球の年齢は、物質が冷めるという作用によって推定しようというがその方法でした。この方法で正確に時間を測定するのは、現在では難しいことがわかっています。放射性核種を用いるというまったく別の方法によって、地球の年齢が求められています。
 今までの話で、地球の熱が、地球の年齢を見積もる上で重要な役割を果たしました。熱が地球で果たす役割は今でも、重要なまま変わっていません。そんな熱の役割の話は、次回としましょう。

・天候の変化・
北海道は、天候がめまぐるしく変わっています。
私が住んでいる地域では、平野の雪は、なくりました。
しかし、先日の4月24日から25日にかけて、寒くなり、雪が降りました。
25日の朝は一面雪景色となっていました。
もう、北海道の松前では桜の便りも聞かれます。
なのに雪です。
もちろん寒波が来ているせいでしょう。
26日には快晴でしたが、放射冷却で霜が降り、氷もはっていました。
晴れて風がない日には、Tシャツでも大丈夫なほどです。
若者たちは、Tシャツで外で遊んでいます。
以前は、ゴールデンウィークころまで、雪が降っていたそうですから、
4月下旬に雪が降ってもおかしくはありません。
でも、ここ数年の早い春しか知らない私は、
このめまぐるしい天候には驚かされます。

・道北へ・
今年のゴールデンウィークは、我が家では、道北にでかけます。
5月1日から5日までの4泊5日の旅をします。
家族旅行として、家から自家用車でいきます。
家族旅行ではありますが、私にとっては、野外調査の一環です。
海と川で試料を採取したり、データをとったり、写真を撮ったりします。
北海道のゴールデンウィークは春真っ盛りです。
花が一斉に咲きはじめます。
桜も、梅も、レンゲも、つつじも、一気に咲き始めます。
北海道のゴールデンウィークはそんな季節です。
ですから、北海道の人は、待ちかねた春を、
ゴールデンウィークには満喫します。
長い冬を過ごしてきた北国の人には
そんな春を大いに謳歌したくなります。
春は動き回りたい気分にさせられます。
さてさて、どんな旅になるでしょうか。