2002年11月7日木曜日

6_17 11月の誕生石

 誕生石が、ひとつの月と、ふたつの月、3つの月があります。なぜかは、わかりませんが、誕生石の数が違うのです。今月は、ひとつの月です。11月の誕生石は、トパーズです。

 トパーズは、英語でtopazと書きます。日本名は、黄玉(おうぎょく)といいます。日本名の黄玉という名のとおり、黄色のトパーズが、宝石として価値があります。シェリー酒に似た、黄みがかった、豊かなオレンジ色が、宝石とされています。中でも、インペリアル・トパーズと呼ばれる、やや赤みを帯びた暖かい黄金色をしているものがいいとされます。しかし、トパーズでよくみられるのは、無色透明の結晶が多いのです。
 柱状(斜方晶系)の結晶としてよくみられます。モース硬度は8で、8の指標の鉱物として使われています。
 トパーズは、片麻岩という変成岩や花崗岩の中や、花崗岩や流紋岩の小さな穴からみつかります。
 トパーズの化学組成は、Al2SiO4(F,OH)2です。カッコ()の意味は、フッ素(F)か、水酸基(OH)のどちらかが、あるいは両方がはいるという意味です。水酸基のタイプのトパーズは、色が美しく、色も永久性があり、インペリアル・トパーズもこのタイプです。無色や青色、黄色、褐色のトパーズは、フッ素タイプですが、色の耐久がよくありません。
 水酸基タイプの黄金色のトパーズは、熱処理によりピンク色に変わります。無色のトパーズに放射線による着色もおこなわれています。フッ素タイプのトパ-ズは、着色しても色の耐久性は、よくありません。
 トパーズで品質のいいインペリアル・トパーズと呼ばれるものは、ブラジルのミナス・ジェライス州オウロ・プレト地区が世界唯一の産地となっています。そこ以外にも、スリランカやインド、ロシアのウラル山脈などからも品質のいいものが産します。世界最大のトパーズは、ブラジル産で、80cm×60cm×60cm、300kgもあり、ニューヨークの自然科学博物館にありからみつかります。日本最大の標本は、7.5cm×10cm×15cm(苗木)で、20世紀のはじめにとれたもので、現在では、こんなに大きいなものはとれません。

・名前の由来・
トパーズという名前は、
紅海の中央部にあったトパゾス島に由来するといわれています。
この話は、プリニウスの「博物誌」からきているようです。
紅海の真ん中にトパゾス島という島
(現在のセント・ジョン島らしい)
があり、昔から探索されてきました。
しかし、霧が深く、なかなか発見されませんでした。
ですから、この島の名前を、
「探索する」という意味の「トパージン」と呼ばれていました。
「トパージン」というのは、
昔のエチオピア人の言葉で「探索する」ことです。
紀元前3世紀に、この島から初めて1個のトパーズ
(これは現在ではペリドットと呼ばれている別の宝石)
が、エジプト王家に贈られました。
王家は、この「トパーズ」で、2mもある像をつくり、
神殿に奉納した、という記述があります。

紆余曲折のすえ、トパーズという名前がついたようです。
ある島を探していましたが、
なかなか見つからないので、
その島の名前が「探す」という名前になり、
その後、島からでた宝石の名前になりました。
でもその宝石は別のものだったのですが、
現在のトパーズという宝石の名前になりました。

・さまざまなトパーズ・
かつて、トパーズには、
ペリドット(カンラン石のフォルステライトと呼ばれる種類)や
クリソチル(蛇紋岩の一種)など
別の鉱物が、間違ってトパーズとされていたこともありました。
現在では、オリエンタル・トパーズ(黄色のサファイア)や、
黄色の石英や黄色のコランダムが
トパーズとよばれることもあります。
これは黄色という色がトパーズの特徴なので、
それに似ているという意味から
「トパーズ」という名称が使われているのです。
また、透明のブリリアンカットしたトパーズが
ダイヤモンドの間違われることがあります。
これは、誤解もしくは詐欺のためです。