2002年8月22日木曜日

4_19 アパラチアの片隅で:カナダ3

 カナダのニューファンドランドは、アパラチア山地の東端にあたります。そんな生い立ちが、ニューファンドライトで垣間見ることができました。そして、ニューファンドランドは、ヨーロッパと北アメリカ大陸の架け橋でもあるのです。


 まず、アパラチア山脈の話をする前に、山脈はどうしてできるかを見ておきましょう。山脈は、プレートテクトニクスの考えでは、プレートがぶつかるところです。プレートがぶつかるところとしては、アンデス山脈のように、海にプレートが沈み込む海溝をもち、陸には山脈があるコルディレラ(cordillera)型と呼ばれるものと、ヒマラヤやアルプスのような大陸同士の衝突した境界上にある衝突(collision)型があります。アパラチア山脈は衝突型です。
 しかし、古生代にできた古い時代の造山帯は、その山々も侵食のために低くなっています。ニューファンドランドは、氷河に覆われたために、さらになだらかになっています。まさに、たおやかな山々です。
 アパラチア山脈は、北アメリカ大陸の東部にある大山脈です。地名はチョクトー・インディアンの言葉(向こう側の人々という意味のappalachee)に由来しているそうです。
大西洋岸沿いにアメリカ合衆国アラバマ州北部から、カナダのケベック州をとおり、ニューファンドランドまでのびています。全長は約2400km、幅は150~500km、標高は450~2000mです。
 アパラチア山地をつくっているのは、原生代後期から古生代デボン紀にかけての堆積物です。堆積物の中には、石炭紀層の地層には大量の石炭が見つかっていて、100年以上にわたって北アメリカ採炭量の約3分の2を供給してきました。また、オフィオライトと呼ばれる、海洋地殻の断片も混ざっています。また、そこに貫入する原生代最末期から石炭紀後期にかけての4回の活動時期を持つ花崗岩があります。花崗岩の貫入によって、その周辺には変成岩が形成されています。
 山地の形成期は、オルドビス紀にはじまり最盛期は二畳紀でありました。大西洋がまだなかった時期のなので、ヨーロッパとつながってました。ですから、ヨーロッパにも同時期の造山運動があります。ヨーロッパでは、古生代前半のカレドニア造山帯と古生代後半のバリスカン造山帯が、異なる場所に分布します。北アメリカ大陸ではアパラチア山脈一帯に、カレドニア造山運動とバリスカン造山運動が重複しておこっていますが、総称してアパラチア造山帯とよんでいます。
 ニューファンドランドの東部は、地質区分では、アバロン地区と呼ばれ、堆積岩と花崗岩を主体としたものです。
 ニューファンドランドの地質ですが、アパラチア造山運動によってできたものです。ニューファンドランドは、その典型とされています。アパラチア造山運動とは、6億から3億年前にかけておこった山をつくる作用です。プレートテクトニクスでは、プレートが沈み込んでなくなり、今は陸地となっているところです。ニューファンドランドの西は北米大陸の端で、そのあいだにはイアペタス(Iapetus)と呼ばれる海があり、東側にはイアペタスの東端にあたります。
 アパラチア造山運動とは、イアペタスという海が、プレートの沈み込み(収斂(しゅうれん)といいます)によってなくなるときできた、陸地です。ですから、今は亡き海の証拠がいろいろ見つかります。