2002年4月4日木曜日

6_10 4月の誕生石

 ダイヤモンド。この一言で、興味を示される方がたくさんおられると思います。4月の誕生石は、ダイヤモンドです。ダイヤモンドは、なぜ、綺麗なのでしょうか。その秘密を見ていきましょう。

 ダイヤモンドは、単に値段が高いから、魅了されるのでしょうか。それだけではありません。宝石、特にダイヤモンドには、見ると誰でも、引き込まれるような美しさがあります。それは、天然の結晶がもつ特徴と、人間の叡智とが共同してつくりあげた美しさなのです。
 ダイヤモンドの特徴は、屈折率が高く、硬度(モースの硬度10)が大きいこと、そして、天然での産出が少ないことから、宝石として珍重されています。
 屈折理の高さは、透明鉱物の中でも最大です。屈折率が高いということは、ダイヤモンドの中に入った光が大きく曲げられます。また、ダイヤモンドは、波長によって屈折率が違っています。入る光の角度によっては、光を鏡のように反射させることができます。どこから見ても光をうまく反射する面をつくったものが、ブリリアン・カットなどとよばれる加工です。また、波長によって屈折率が違うため、きらめきが生じます。
 硬度が大きければ、その輝きは永遠に保証されます。
 ダイヤモンドの成分を見ていきましょう。ご存知の方もおられると思いますが、ダイヤモンドは、炭素(C)という元素からできています。同じく炭素からできている鉱物として、石墨(せきぼく)(グラファイトともいます)があります。しかし、石墨は、ダイヤモンドとは似ても似つかない鉱物です。石墨は、真っ黒な結晶で、手でこすると、結晶が手につくくらい柔らかいものです。けっして身に付けて飾ろうという気も起きないものです。
 炭素を、墨でも、もちろん石墨でもいいですが、高温あるいは高温高圧の条件にすると、原理的には、ダイヤモンドができます。強い圧力よって、ダイヤモンドは、炭素のぎっしりとつまった状態になっています。ぎっしりつまっているということは、密度が大きくなっています。同じ炭素からできている結晶でも、ダイヤモンドの密度が大きく(約3.5 g/cm3)、石墨は小さく(約2.2)なっています。
 では、天然のタイヤモンドは、どこでできたのでしょうか。それは、地球の深部です。地球は、深部に入るほど圧力が上がります。ダイヤモンドができるのは、100km以上の深度になります。そのダイヤモンドが、低温低圧の地表にくるには、マグマの働きによって地下から持ち上げられなければなりません。それも、ゆっくりと上がってくると、低圧で安定な鉱物である石墨に変わってしまいます。そのような余裕もなく、一気に地表にまで達したものが、ダイヤモンドとなります。
 現在、ダイヤモンドは合成されますが、天然のものとは不純物(インクルーション)で区別できます。人工結晶には、不純を含まなかったり、不純物の種類や入り方が違っています。ですから、区別できます。また、ダイヤモンドの贋物(イミテーション)として、ジルコン、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)やチタン酸ストロンチウムなどが用いられます。贋物はダイヤモンドだけではありません。いろいろなもので、あります。
 しかし、天然のダイヤモンドは、非常に変わったできかた、そして運ばれ方をしたものなのです。だから、ダイヤモンドの輝きには、人を惑わす魅力、いや魔力があるのかもしれません。ダイヤモンドの魔力は、人にイミテーションまで生み出さすまでにいたったのです。