2001年12月20日木曜日

3_17 核

 地球の中心部。そこには、核(かく)と呼ばれる層があります。核は、まさに地球の芯にあたります。地球の各層について、今まで、その概要を述べてきました。今回がとうとう最後の層となりました。では、その地球の最深部を覗いてみましょう。


 核は、金属の鉄からできています。鉄は、岩石より密度が大きい物質です。だから、地球の一番深部にあるのです。つまり、核でも、地球の層構造の原則、重いものは下、にしたがっているのです。
 核を構成している鉄は、金属のままで、酸化されていません。つまり、核には酸素がないのです。地殻やマントルを構成する岩石にも、鉄が含まれています。でも、岩石内の鉄は、多くが酸化物となっています。酸化物でなくても軽い元素と結びついて酸化状態になっています。ですから、比重の大きな鉄が、地表やマントルに留まっていられるのです。
 さて、鉄でできている核は、地震波で見ると、2層に分かれていることがわかります。核の外側(外核)は、溶けた鉄からできています。内側(内核)は固体の鉄からできています。成分は同じなのですが、相としては全く違うものです。このような固相と液相の違いがあることによって、現在の地球の境界と地球の歴史に影響を与えています。
 液体の鉄は、地球の自転に伴って動きます。金属鉄の流動によって、電流が生じると考えられています。電流が生じると、そこには磁場が発生します。つまり、地球が巨大な発電機となり、発電機は電磁石の作用をするのです。その結果、地球全体が、磁場を持ち、巨大な磁石として振舞います。それが、地球磁場となり、方位磁石(コンパス)が北を指す理由とされています。このような考え方を、地球ダイナモ理論と呼んでいます。
 地球の形成直後は、高温であったと考えられています。現在は、だいぶ冷めていますが、火山活動がおこるということは、地球内部にはまだまだ熱を持っていることを意味します。そのような地球内部の熱源として、核は重要な働きをしていると考えられています。
 一般に液体から結晶ができると熱(潜熱といいます)の放出がおこります。核では、液体の鉄が結晶化することによって、熱が放出されています。その熱は外に向かって、つまりマントルに向かって放出されます。外核の固体化はゆっくりですが、進んでいるのです。外核で形成された鉄の結晶は、まるで雪のように内核の表面に向かって降っています。そして、雪だるまが成長するように、内核が成長していきます。
 熱をもらったマントルは、暖められます。暖まったマントル物質は、周りの暖まってないマントル物質より、比重が軽くなります。そして、あるとき暖まったマントル物質が上昇を始めます。上昇して抜けた場所には、上部から冷たいマントル物質が降りてきます。このような大きな物質の移動が、数1000万年から2億年くらいのサイクルで起こってきたと考えられています。このようはメカニズムをプルームテクトニクスと呼んでいます。
 プルームテクトニクスは、上部マントルの上の方や地殻では、プレートテクトニクスを生みます。そして、火山が発生したり、山脈が形成されたり、大陸が移動したりという現象を生みます。層と層は相互作用をもっています。層には相があり、それぞれの違いがまた、相互作用を生みます。