2001年9月6日木曜日

2_12 地球生命の代表

 地球を代表する生き物とは、何でしょうか。ヒト、それも一つの答えです。文明や科学などの尺度で見れば、そうかもしれません。でも他の尺度で見れば、ヒトは地球の代表とはいえません。地球を代表する生命は何か、考えてみましょう。
 地球から無作為に地球生物から1つの個体を選んだとしましょう。あなたが、代表に選べるのは、世界人口の60億分の1でしょうか。いえいえ、多分、あなたも私も、いやヒトは地球生命の代表になれません。
 代表になるための予選をしましょう。公平になるように、箱の中に0から46までの番号が書かれた玉が入っているとしましょう。その中に00と書かれて玉も入れておきましょう。
 これは、地球生命のうちで、ヒトという種類を引き当てることができるかどうかというゲームです。
 地球生命の生存期間が、玉に書かれた番号とします。各番号は、地球における1億年の歴史(期間)を表わすことになります。例えば、1という番号は1億年前から2億年前までの時代で、35は35億年前から36億年前まで時代を意味します。ただし、0は1億年前から200万年前で、00は200万年前から現在までとします。
 このゲームでは、ある生物のグループが、その時代に生きていれば予選に勝ち残れます。つまり、より長く地球上に存在していたものが、断然、有利となります。
 0~46までのうち、39~46は、生命のいない、地球生命全体が負けのところです。38~36は、生命がいたかどうかは灰色ですので、引き分けで再度玉を投げましょう。0~35は、私たち以外の生物が予選を突破します。00が出たとき、始めて私たちヒトが予選突破できます。生存期間で見る限り、ヒトは予選突破は非常に困難です。多分、地球生命の代表とはなれそうにありません。確率的に代表になりやすいのは、最初に生まれ、現在も生きている古細菌とよばれる微生物の仲間です。いってみれば、私たち、ヒトは、こんなに短い時間しか、地球に存在していないのです。
 低い確率ですが、00を引いたとしましょう。次は2次予選です。箱に1億個の玉を入れます。その中から、1個抜いて、引かれたものが決勝に残れるとしましょう。何個抜いても良いですが、とりあえず10個にしましょう。玉には、生物の種名が書かれています。これは、種数による選択です。
 現在の生物種は、150万種といわれています。でも、それは、ヒトが知っている生物種の数で、本当は数千万種とも1億種ともいわれています。ですから、1億個の玉としました。10回引いた時、ヒトがその中に含まれているいる確率は、1000万分の1です。ずるをして、現在生きているホモ(ヒト)に加えて、アウストラロピテクスなどの化石種も、ヒトと見なして10個ばかりヒトと書いて加えてもおきましょう。それでも、ヒトの仲間が選ばれるのは、100万分の1です。多分、種数でいっても、古細菌や細菌などの微生物が選ばれるでしょう。
 さて、決勝です。10種の生物すべて集めて、個体数の数に見合った玉を入れておきましょう。玉には個体ごとの種名を書いておきましょう。多分、ヒトが選ばれる確率は、限りなくゼロに近いものでしょう。なぜなら、微生物は非常に小さいですが、その数たるや、膨大なものだからです。そこに、大型の哺乳類が多数を占めていたら、もしかしたらヒトが勝つ確率があがります。でも、ネズミのような小さな哺乳類なら負けます。
 このような予選や決勝を勝ち抜いたものを、地球の代表とすることが、一番、フェアな選択です。でも、どうしても、身びいきをして、ヒトを代表とする理屈を、私たちヒトは付けようとします。本当に妥当性があるのでしょうか。それは別のエッセイで考えましょう。
 ここでいいたかったのは、ヒトが地球時間に占めてきた割合においても、全生物種の数においても、個体数においても、非常に微々たる存在であるということです。ですから、ヒトは、だれも賭けそうもない大穴というほどの存在であるということです。