2001年3月29日木曜日

3_4 二酸化炭素はいずこに

 原始の地球の大気は、二酸化炭素が主要成分でした。それが、今や非常に少ない成分となっています。その少なくなったはずの二酸化炭素が、少し(0.01%ほど)増えただけで、温暖化という問題が生じています。では、大量にあった二酸化炭素が少なくなったプロセスをほんの少し再現すれば、二酸化炭素による温暖化は解決されるかもしれません。ここでは、二酸化炭素の行方を追ってみましょう。


 二酸化炭素は、ある程度海水に溶けます。二酸化炭素は、海水に溶けると、炭酸イオンとなります。炭酸イオンは、マイナス2価のイオンですので、プラス2価の陽イオンと結びつきます。化学的性質で、カルシウムやマグネシウムと結びつくと、沈殿します。炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムは、固まると方解石やドロマイトという鉱物になります。ですから、陸地に持ち上げられると、固体として安定したものとなります。そしてなにより、気体のときの二酸化炭素と比べると、格段にコンパクトなサイズになっています。
 海水から二酸化炭素が減ると、大気中の二酸化炭素からまた溶け込んできます。カルシウムやマグネシウムは、海水にたくさん含まれている成分です。岩石にもたくさん含まれている成分で、海水に少なくなると、陸地の岩石から水に溶けて、川によって海に運ばれてきます。
 海に生物が誕生すると、炭酸塩を殻や骨に利用するものが現れてきました。サンゴなどがその例です。サンゴは小さい生き物ですが、たくさん集まると島を取り囲むほど巨大になります。現在では、オーストラリアのグレートバリアリーフのように、長さが1000kmを越すような規模のものまであります。サンゴ礁は、海の中にあると、やがては溶けてなくなりますが、地球の営みによって、陸地にあげられれば、石灰岩という岩石として長く保存されます。陸地には、グレートバリアリーフに匹敵するような規模の石灰岩地帯がいくつもありあます。「日本には石灰岩のない県はない」といわれるほど、小さくてもいたるところにあります。
 陸地に植物が、誕生すると、植物が今度は、有機物として二酸化炭素を固体にしてきました。あまった有機物は石炭として炭素の固体として、大地の中に保存されました。
 地球の大気の変遷は、地球と大気の相互作用の結果なのです。その相互作用は、生物の進化にともなって、時代毎に変化してきました。
 今も大気中の二酸化炭素は、生物によって固体化されています。しかし、そのような生物を人間は、材木や紙として利用しています。あるいは石炭や紙を燃やして、植物が固体化する以上に、二酸化炭素を生産しています。これが、将来どう変化するかは、人類の選択に委ねられているのかもしれません。