2000年12月3日日曜日

2_2 生命とは

(2000年12月3日)
 生命とは、不思議なものです。長い年月をかけて研究者たちはその秘密を解き明かそうとしてきました。まだ、その完全なあるいは誰もが納得するような答えを、私たちは得ていません。でも、あえて問いましょう。生命とは、なにかを。
 「生命とは何か」これは難しい問題です。実は答えはありません。なぜかというと地球の生き物すべてを網羅的に定義がおこなえないのです。
 では、私たちが生命を認識ができないかというと、そうではありません。たとえば、4本足で立っているイヌと4本足のイスがあるとします。すると、私たちは即座に、イヌが生き物で、イスは生き物でないとわかります。なにも、こんな極端な例ではなくても、たとえば、昼寝しているイヌと死んでいるイヌは、ちょっと観察すればわかります。では、どう違うか説明しろというと、これがなかなか難しい。ここではイヌが生きているか死んでいるかを議論するとこでないので、ひつこく言いませんが、実はこれがまた難しい。人間では脳死問題につながるほど、微妙な問題です。このあたりは立花隆氏の脳死に関する書物を読まれると面白いと思います。
 生物すべてに共通の定義はできませんが、最大公約数的な定義が可能です。
・自分をもっていること
・食べてウンチをすること
・子供をつくること
・子供が親とは少し違っていること
の4つが、その定義です。私たちヒトからすると、当たり前のことのようですが、他の生物では、この定義でもはっきりしません。この4つの定義を少し詳しく見ていきます。
 「自分をもっていること」といいうのは、自分であるところと自分でないところがはっきりしていることです。ヒトで言えば、体がはっきりしていることです。当たり前のことですが、微生物になると、一つの生物なの複数の生物なのかがはっきりしないことがあります。この自分というものは、個体といいます。「自分を持っていること」とは、個体があることといい換えることができます。
 次ぎは、「食べてウンチをすること」です。食べるということは、体の外から、自分のエネルギーのもとを取り入れるということです。ウンチをするということは、体の中のいらなくなった物質を排泄することです。このような個体内での、エネルギー変換システムを、代謝といいます。
 「子供をつくること」ということは、繁殖するといことです。生物というのものは、自分と同じ仕組みを持った子供を作らないと絶滅してしまいます。現在地球に生物がいるということは、常に子孫を作りつづけてきたからです。そうでなければ、一つの個体が、無限の寿命を持たなければなりません。しかし、私たちは、死んでいくいく生き物を見ています。それと、子供を作らないとすれば、最初の生物はどうしてできたという問題にたどり着きます。神様がつくったとにでもしないと、解決できない問題となります。
 最後は、「子供が親とは少し違っていること」とは、3番目の定義と矛盾しそうですが、この仕組みが今の多様な生物世界を形成してきたのです。ヒトでも、親と子とは似ていますが、少し違います。二卵生双生児でも似ているけれども、どこか違います。このような違いが、やがてはある生物を別の種類への生物へ変えていきます。このようは仕組みを、進化といいます。
 この4つの定義を満たさないと、それは生物と言えないかといいますと、そうではありません。実際にそのような生物がいます。じゃあ、この定義のいくつかを満たせばすべて生物かというと、生物でないものでも、上のいくつかの定義を満たすことがあります。このような生物らしくない生物や、生物らしい生物でないものについては、別の機会に紹介しましょう。