2000年9月20日水曜日

4_1 「地球地学紀行」とは(2000年9月20日)

 「地球地学紀行」とは、なんでしょうか。これから「地球地学紀行」で話す内容を紹介します。
 近頃は、ごく普通に海外旅行を楽しむ人が多くなりました。盆と正月、ゴールデンウィークなどは、何十万人の人が海外旅行に出かけるということがニュースとして伝えられます。そして、でかける所は、ハワイやオーストラリア、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどの観光地が大部分でしょう。しかし、しょっちゅう出かける人は、だんだんありきたりの観光地の旅行にあきてきて、だんだん普通の人のいかない所にいくようになります。
 こんなことがありました。ある無名の観光地へ7、8年前に出かけたところ、その国の人が知っている観光地ではありますが、日本人なんかは一人も見かけませんが、2年前に行ったときには、何人も日本人を見かけ、新婚旅行に来ているカップルもいました。それほど、日本人は世界各地に出かけているのです。
 地質学者と呼ばれる人種は、変なところに好んで行きます。別に探検するつもりではありませんが、探検家が行くような未開の地や極地などにも、興味や研究のために出かけていきます。すべて好奇心のなせることです。
 私も、学会や調査で日本や海外に出かけてます。出かける先は、有名な観光地や名勝地でも、観光地の裏側の石ころや雄大な景色の反対側の崖なのにへばりついて石や地層を見ています。それも、同じところに、何時間も時には何日もへばりついて石を調べたり、どうしてできたかを探ろうしていることもよくあります。言い写真を撮るために、前日に下見をして、日差しの一番いいときを考えて翌日出かけることもあります。
 私は、ともともとそのような偏屈なあるいはマニアックな性向があったわけではなく、地質学という学問をはじめたおかげで、大地を構成する岩石や地層に興味を持つようになり、観光地や景色より面白いものを知ったからです。
 私も年齢を経るにしたがって、少しは丸くなり、観光地や景勝地を楽しむようになりました。そして、海外にできかける機会も多くなってきました。海外では、景勝地イコール観光地イコール地質学的名勝地となっていることも多く、趣味と実益をかねた調査、観光旅行を楽しんでいます。
 観光地でも、お土産を買うわけではなく、その地でしか見れない石を採ってきたり、地質現象を撮影することが目的となっています。ちょっと変わった観光客です。しかし、このような地質学者がみた景観ももしかすると、普通の観光旅行をしかしたことのない人達にとっては新鮮かもしれません。ぜひ、一風変わった地質学者の地球地学紀行を一緒に楽しんでください。