2001年3月22日木曜日

4_4 堆積岩の話

 続いて、グリーンランドの話をします。グリーンランドのイスアというところにある世界最古の堆積岩を紹介します。


 まず、堆積岩とは、大陸の川が運んできた土砂が、海底にたまったものです。堆積岩があるということは、海があったという重要な証拠となります。
 イスアの堆積岩は約38億年前のものです。38億年前から現在まで、さまざまな時代の堆積岩は世界各地から見つかっています。このように、各時代の堆積岩が見つかるということは、地球の海は、38億年前から現在まで、ずっと絶えることなく存在しつづけたことを意味します。
 海がずっとあったということは、地球の表面の温度が、摂氏0度から100度までの間に保たれていたことを意味します。このような条件は、生命にとっては非常に望ましい環境でもあるわけです。
 海があれば、生命の誕生の場となります。また、そんな海が持続的に存在すれば、海で誕生した生命は、海で更なる進化を遂げることができます。進化の結果、やがて生命は海を離れるものも出てきて、私たちヒトも生まれることができました。
 グリーンランド、イスアの堆積岩は、礫岩と呼ばれるものが特徴的でした。イスアの礫岩は、玉石のような粒の粗いものが混じっていました。そして、ザクロ石(ガーネット)の数センチメートルの結晶がたくさんできているところもありました。非常に珍しいものです。さらに、イスアの堆積岩は、褶曲していました。
 最古の海の証拠であるイスアの堆積岩からは、生命の痕跡が発見されています。真偽のほどは議論中で、まだ結論は出ていませんが、私自身はかなり信憑性は高いと考えています。もし、この生命化石が本物だったら、地球では海ができてすぐ、生命は発生したことになります。生命は案外、簡単にできてしまうものかもしれない、ということが、この議論の背景にはあるのです。