2018年5月17日木曜日

3_167 核の姿 2:独立した証拠

 地球の核が金属の鉄でできている証拠には、どのようなものがあるのでしょうか。見たこともない地球内部の構成物を、どのようにして推定するでのしょうか。核の基礎知識編の続きとなります。

 核(コア)は地球の一番中心にあるもので、成分は金属の鉄からできていることがわかっています。とはいっても、だれも見たことがない地球深部のことです。どのようにして、鉄でできていることがわかるのでしょうか。その根拠を示していきましょう。
 地球内部を探る方法として、地震波を用いるものがあります。地震波には固体だけを伝わる波と、どんな物質でも伝わものがあります。地震波は、物質の性質により伝わる速度が違っています。その違いを詳しく調べて、内部を探る方法です。ひとつの地震で生じた地震波を、世界各地で観測し、詳細に解析していくとで、状態(固体か液体か)や、密度、温度などを、推定することができます。果物のスイカを叩いて中身の状態を確かめるようなものです。
 地震波の解析の結果、地球の中心部にはマントルよりもっと密度の大きく、温度の高い物質からできている核があることがわかりました。そのような物質は鉄に相当しています。同じ金属鉄でも、さらにその内部は、外側に液体の部分と、内側に固体の部分があることもわかりました。
 地球の外部からの証拠もあります。それは、隕石です。
 隕石は太陽系ができた頃の年代をもっています。隕石の中には、地球の材料となったと考えられるタイプ(コンドライト)のほかに、惑星の核を構成していたと考えられるタイプの鉄隕石もあります。鉄隕石は、金属の鉄からできています。これは他の石質隕石とはまったく違った構成物からできており、組織も違っています。さらに、核とマントルの境界にあったと考えられる石鉄隕石や、天体のマントルを構成していたと考えられるエイコンドライトと呼ばれる石質隕石もあります。
 惑星の核を構成してたものが、なぜ隕石として現在の惑星空間に存在しているのかは、なかなか難しい問題です。多分、太陽系の惑星形成の時期は、大量の材料物質があり、それらが非常に激しく衝突、合体していて、やがて微惑星ができ、さらに衝突、合体とともに、破壊もおこっていたようです。その激変は、非常に短い期間におこったと考えられます。各惑星軌道で残っているのは、軌道で最大の天体(惑星)だけとなり、周辺の材料物質はすべてその惑星に集まったことになります。
 しかしその当時の破片の一部が、今も小惑星帯に残っていて、隕石として時々地球に落ちてきているのです。
 このようないくつかの独立した証拠から、地球(他の惑星にも)の内部には金属の鉄からできた核があることが推定されています。そんな核について、新しい情報が出てきました。それは次回としましょう。

・エッセイの再編・
今回、メールの頭に掲載したのですが、
今後、「地球地学紀行」の項目は
今後新たに書かないことにしました。
それは、私が出しているもうひとつの月刊エッセイ
「大地を眺める」と内容が重複しているからです。
そしてどこかへ出かけた時のエッセイを
どちらで書こうか迷うこともあるので、
出かけた時のエッセイは、「大地を眺める」にまとめることにしました。

・南北の差・
もうゴールデンウィークが終わって10日ほどたちます。
西日本では夏日など暑い日が訪れているようですが、
北海道は涼して、自宅では1時間ほどですが、
ストーブを焚いたと家内がいっていました。
今でも時々短時間ですが
ストーブを焚くこともあるようです。
小さい日本列島ですが、
北と南ではだいぶ気候が違っているようです。

2018年5月10日木曜日

3_166 核の姿 1:層の構造

 情報としてしては、少し古くなりますが、2016年と2017年に核に関する新しい報告を紹介していきます。これらの報告で、核の姿がどのように見えてくるようになったのでしょうか。

 地球の中心にある核の話しをする前に、まず地球の構造について、概略をみておきましょう。
 地球の構造として、外(宇宙空間)から内側にむかって、磁気圏、大気、海洋、地殻、マントル、そして核となっています。生物は、海洋か大地と大気の境界付近に分布しています。それらの構成物が、球殻状に層をなしています。それぞれの層を構成している成分は、全く異なったものからできています。
 磁気圏は、地球の磁場が及んでいる範囲のことで、物質ではないので、層として捉えない場合もあります。大気は、気体で空気と呼ばれる成分からできています。
 海洋は、主成分は水ですが、海では海水で、陸地では淡水になります。この水は、不思議な性質をもっていて、太陽に温められると気体として水蒸気となり大気中を上昇していき、やがて冷えて氷や水滴となり雲を形作ります。また、凍ると氷となり氷河や氷床、海氷として、海洋や大陸に固体として存在します。固体の氷は、これまた不思議なことに、密度が水より小さくなり、液体の水(海)に浮いてしまいます。
 地殻を構成するのは岩石ですが、その種類は非常に多様で、同じ岩石名で呼ばれていても、その見かけはかなり異なっています。マントルも岩石からできていますが、地殻のものとは全く違ったカンラン岩と呼ばれる岩石です。核は、金属鉄からできています。
 このような地球を構成してる成分は、それぞれが非常に複雑なものになっています。しかし、このような多様な成分が、実は単純な原理で分布しています。それは、重いものは下、軽いものは上、という原理です。当たり前ですが、地球の重心は地球の真ん中(内部)にあります。そこから外に向かって、密度の大きいもから小さいものへと、順に並んでいるわけです。
 地殻を含めてそれより外側では、実際に物質を手にして、調べることができます。また、マントル物質も稀ではあるのですが、地表に持ち上げられているので、物質を手にすることができます。ずべてではないのですが、マントルまではなんとかその実体を知ることができます。では、地球の一番中心にある核が鉄ができるというのは、なぜわかるのでしょうか。もちろん、物質を手にすることはできません。それは次回から探求していきましょう。

・未知の固体地球・
人類は、宇宙空間に恒常的な基地をつくって、
そこに誰かが滞在しています。
月にもいったことがあります。
ところが、地球内部を進むのは、なかなか困難です。
深海の一番深いところへは、
潜水艇が何度か潜ったことがあります。
ところが、地殻へは、数kmしか人はもぐっていません。
物質として掘り抜いたのも、
せいぜい10km程度しかありません。
固体の地球には、未知の世界が広がっているのです。

・計画変更・
ゴールンウィークは調査で道南にでかけました。
思いの外、重要な露頭をいくつか見つかったので、
再調査をする必要になりました。
そこで、今年度の研究計画を変更の申請をしました。
その結果、道南には少なくともあと3回は
調査にいくことにしました。
研究の進行上、できるだけ夏前には
調査を終えたいと思っています。
今期は、月曜日に講義や校務がないので、
土、日、月の3日間の野外調査が可能となりました。
5月、6月、7月にそれぞれ3日ずつ
調査に出かける予定にしました。

2018年5月3日木曜日

2_159 恐竜の卵 3:化石と現生

 恐竜の卵の孵し方、温め方を、化石から、たどっていく研究について紹介しています。化石は限られた数、情報なので、現生の生物種からの類似性を利用しています。そこに、多様性の中の共通性がありました。

 現生の恐竜に類似した生物の生態から、恐竜の生態を探る方法を考えています。恒温性をもった鳥類は卵を抱いて育てます。ある種の鳥類やワニ類には、草の盛り上げて、その発酵熱で卵を温める方法を取るものもいます。また、地中の砂に埋め、太陽熱で温める方法もあります。このような多様な卵の孵し方は、恐竜も利用していたのではないかと、田中さんたちは推察しました。
 恐竜の巣の化石から、生態を調べてきました。ハドロサウルスの仲間には巣の卵と共に化石になっているものがありました。これは恒温性をもった恐竜が、卵を抱いて温めていた可能性があります。また、ある種の恐竜の巣の化石では、砂岩の中から見つかる種類があります。これは、砂の中に卵を埋めて、太陽熱や地熱を利用して温めていた可能性があります。その他にも、土の発酵熱を使うタイプの巣の化石も見つかっています。
 巣の化石からみると、恐竜の生態としても、現生の生物と同じほどの多様な卵の孵し方をしていたことがわかってきました。
 田中さんらは、さらに考察を進めて、現生の生態から、卵を温めている温度は、砂に埋め太陽熱を利用する巣では平均で3.9度気温より高くなっていて、発酵熱を使う巣では平均7.3度でした。これは、その地の平均気温に対応している可能性があります。太陽熱から発酵熱、抱卵の順に高緯度になっていることになります。ただし、抱卵はどの地域でも可能でしょう。
 化石の巣は数が限られ、引き出せる情報も限られています。しかし、そのような化石でも、似た分布が見つかっています。北極圏では、抱卵していた巣が見つかっていますが、発酵熱の利用しているものも見つかっています。これは、白亜紀後期には温暖化が起こっている時代なので、可能だったようです。
 このような研究で、昔の生物の恐竜にも多様な生態があることが明らかになってくると、私は、生物の多様性とその範囲に思いが至ります。生物の形態や生態の多様性は大きなものです。多くの生物種がいれば、目一杯の多様性を追求ていきます。それはどの時代においても、生物は同じような多様性を追求していきます。結果として、どの時代でも、生物の多様性は、環境や生態が許す限り追求していくことになります。それは時代を越えた普遍性、共通性へとなっていきます。不思議なものですね。

・道南調査・
ゴールデンウィーク前半は、道南に調査にでかけました。
天気には恵まれました。
内陸の調査はうまくいかなかったのですが
海岸沿いの調査はそれなりの成果がありました。
ただ、風が強くて、波が高く
近づけないこともあったので少々残念でした。
今年は、道南で調査を続けていく予定に変更しました。

・好きなこと・
ゴールデンウィークの後半は天気が悪そうです。
北海道は桜の満開の時期なのですが、
どうなるでしょうか。
でも今年はゴールデンウィークも半分は仕事です。
まあ、好きなことですから、いいのですが。

2018年4月26日木曜日

2_158 恐竜の卵 2:鳥とワニから

 過去の生物の生態を探るのに、現生の生物の生態の類似性を利用できます。過去の生物にも、そのような生態があったという根拠が必要です。その根拠は化石に頼るしかありません。

 恐竜の卵の温め方に対する報告がありました。名古屋大学の田中康平さんと北海道大学などの研究者と共同でおこなわれ、Science Reportに2018年3月に報告されました。そのタイトルは、

Nest substrate reflects incubation style in extant archosaurs with implications for dinosaur nesting habits

というものです。著者らが示してている日本語訳は、

巣の素材は現生主竜類の営巣様式を反映し、恐竜類の営巣方法に関する見識を与える

とういものです。難しい日本語訳ですが、簡単にいうと、現在生き残っている恐竜の子孫を参考して、恐竜の卵の温め方を推定していこう、ということです。
 鳥類は、恐竜の子孫であることがわかってきたことを、前回紹介しました。生物は、環境によりその生態も形態も変化し、それが進化へと繋がります。しかし、どこかに祖先の特徴や生態を残していることもあるはずです。そんな現在の生物の生態から、過去の祖先への繋がりを見出していきます。さらに、前回紹介した卵の化石の産状を詳しく調べて、恐竜の卵の育て方の様子の痕跡を探っていきます。それらを突き合わせて、もっともらしい卵の温め方を推定していこうというものです。
 まず、現生生物で恐竜の直系の祖先である鳥類から見ていきましょう。鳥類は恒温性の生物なので、卵を自身の体温で温め、孵しています。たとえ南極のような極寒のところでも、親鳥が温めて孵すことができます。
 恐竜の直系の子孫でありませんが、ワニの仲間も「主竜類」という恐竜と同じグループに属します。ですからワニの生態も参考になるはずです。鳥類と違ってワニは変温動物です。親が抱いて卵を暖めることはしません。ワニは水辺の生き物です。以前、フロリダに行った時、みることができたワニの巣は、水辺の近くですが、小高くなった陸地で水に浸からないところに草を盛り上げて、卵を産み付けていました。ガイドの説明では、太陽熱や有機物の発酵熱を利用していとのことです。他にも、地熱を利用する方法もあるようです。
 ところが鳥類の中には、時に子育てで横着をするものもいるそうです。ツカツクリという鳥は、盛り土をして、その中に卵を生みます。親鳥は卵を温めません。しかし、土に含まれている植物が発酵することで盛り土全体が熱を発します。ワニと同じ方法です。他にも、土に穴を掘った砂の中に卵を埋めるものもいるそうです。これは、卵を温める方法として、太陽熱や地熱を利用するものもいると考えられています。
 現生の鳥類やワニ類で卵の温め方を調べ、その結果発酵熱を使う巣では平均で7.3度も気温より高く、地中の砂に埋め太陽熱を利用する巣では平均で3.9度でした。
 つまり、恒温性のない生物でも、気温より卵をの温度を高くして孵す方法があるということです。では、恐竜は本当に、これらの温める方法を利用していたのでしょうか。化石からその根拠を見出すう必要があります。それは次回としましょう。

・主竜類・
本文中で、主竜類という分類をしめした。
主竜類とは、現生の生物では、ワニ、鳥類が
化石生物では恐竜や翼竜が含まれるものです。
爬虫類はもっと上の分類群になります。
ですから、鳥類と恐竜は同じ主竜類で近いのですが、
そのカメと鳥類やワニより
ワニと鳥類の関係の方が近いのです。
ですから、恐竜とワニ、鳥類との関係を調べることは
充分近縁なので、意味のあることなのです。

・週末からゴールデンウィーク・
今週末から、いよいよゴールデンウィークです。
私は、ゴールデンウィークの前半に道内の調査にでます。
観光地からは、はずれたところにいくのですが、
道中の道路の混雑が心配です。
調査地に入れば、混雑はないとは思うのですが。
あとは天気ですが、こればかりは心配してもしかたがありません。
その様子はエッセイで紹介きればと思っています。

2018年4月19日木曜日

2_157 恐竜の卵 1:鳥と恐竜

 恐竜の卵の化石は、恐竜展などに付随して展示されることがありますが、主役になることはあまりないようです。卵化石自体は、あまりインパクトがないので主役級にはなりませんが、研究では主役になることは度々ありました。

 鳥類は、あるタイプの恐竜の子孫であることは、だいぶ知られるようになってきました。鳥の生態から、恐竜の生態を窺い知ることは、ある程度はできることは容易に想像できます。しかしながら、鳥からは、恐竜の凄さがなかなか実感できそうにありません。
 一番身近な鳥は、フライド・チキンで見るニワトリでしょうか。フライド・チキンの骨は、人の歯にとっては固いものですが、豚や牛と比べると、非常に華奢です。これは、鳥が飛ぶために特化したためです。私たちが食べているニワトリは、飼育下で飛ぶことを諦めましたが、骨は華奢なままです。鳥類は恐竜の子孫ではありますが、骨の頑丈さもサイズも全く違っています。鳥からは、恐竜の巨大さを実感することができません。
 恐竜の化石から一番に感じることができことは、その巨大さや多様さでしょう。ところが、化石からは、恐竜の生態を知ることができません。
 鳥と恐竜化石のどちらにも、長短があるので、お互いで補いながら昔の恐竜を想像するしかありません。あるいは、現世の爬虫類の生態からも補っていけるでしょう。
 さて、本題の恐竜の卵についてです。卵化石は、1923年に発見されました。アメリカ自然史博物館の研究者たちが、モンゴルで初期の人類化石の調査をしている時、偶然発見したものが、最初の科学的記録とされています。それ以降、多数の卵化石が見つかっています。
 中国の雲南省では、約1億9700万~1億9000万年前(ジュラ紀前期)から卵の化石が見つかっており、最古とされています。その化石には孵化前の化石も含まれていというオマケもついていました。
 昨年末(12月1日号)のアメリカの科学雑誌サイエンス誌に、中国北西部で、翼竜の卵の化石が大量に見つかった、という報告もありました。その数は、少なくとも215個で、多分300個ほどの卵化石があるようです。その中には、非常に保存よい化石もあり、卵の中の胚があるものも16個、発見しています。まだ、岩石の中に掘り出せは見つかるのではないかと考えられています。この地層のあったところは、翼竜たちの営巣地だったことになるはずです。
 卵の化石は、形が「卵型」なので、サイズの違いだけで、親がどの種であったかを知ることは難しいものです。ところが、卵と一緒に化石になっている親恐竜の化石も見つかっていることから、ある程度は親と卵の様子を窺い知ることが可能となってきました。

・日本の恐竜・
恐竜の化石は、子どもにとっては
もっとも興味を引く存在ではないしょうか。
生きている動物にも興味がわくでしょうが、
恐竜の巨大さは、迫力満点です。
アメリカやカナダ、モンゴル、中国と比べると
まだまだ、見劣りがするのですが、
日本でもだいぶ恐竜化石が見つかるようになってきました。
そのためでしょうか、日本の恐竜研究者も最近は増えてきました。
化石が多産する地域や、恐竜研究の進んだところで
研究する人たちもだいぶ増えてきました。
そのようなところで経験を積んだ研究者が
日本での発掘を指導することも行われてきました。
恐竜は、子どもだけなく、大人にも魅力ある存在です。
恐竜の研究者が活躍する場が、
日本にも増えてきたのはいいことですね。

・北国の春・
北海道の春もかなり進んできました。
時々寒い日もありますが、
例年より春は早足できているようです。
そして、春になると、出かけたくなります。
多分、北国特有の気持ちかもしれません。
雪が溶けて、暖かくなってくると、
ついつい気持ちがウキウキします。
でも、桜には、まだ早いようですが。

2018年4月12日木曜日

6_153 ホーキング博士追悼

 ホーキング博士が、先月、お亡くなりになりました。ホーキング博士は、宇宙物理で大きな成果をいくつも挙げられており、世界中に知られている有名な科学者です。その訃報に接して思うことを紹介します。

 3月14日、イギリスの物理学者、スティーヴン・ウィリアム・ホーキング(Stephen William Hawking)博士の訃報が、世界中に流れました。ニュースでの報道、科学番組では特番もありました。でも、政治家や芸能人など比べて、その扱いが小さく思ったのは、私だけでしょうか。
 さて、私は地質学を専門としているので、物理学は外野から眺めるだけでした。一般向けの解説書を読んだり、ニュースを見聞きしたり、興味ある成果をエッセイで取り上げたりして、接している程度でした。ホーキング博士の偉大さは、専門ではないので詳細にはわかりません。その前提でお読み下さい。
 以前、彼の本「ホーキング、宇宙を語る」(1989)を読みました。日本だけでなく、世界的にも大ベストセラーになったので、読んだ方もいるかと思います。私はこの本で2つ点で感銘を受けました。
 ひとつ目は、一線級の研究者が、一般向けの本を書いたことです。執筆時点の46歳で、すでに「特異点と時空の幾何学」(1967)、「ブラックホールの蒸発理論」(1974)、「無境界仮説」(1983)など、重要な成果をいくつも発表されていました。超一流の理論物理学者でした。このような成果の評価は、多くの受賞歴が物語っています。なぜかノーベル賞の受賞のないのが残念です。有名な研究者にはノーベル賞を逃している人も何人かいますが、ホーキング博士もその一人でした。
 その一線級の研究者が、科学普及書を書いたのです。最近では多くの研究者が一般向けの本を書くようになってきました。その御蔭で、違う分野の一流の研究者から、現場の最新情報や生の研究生活の話などが聞けるようになりました。かつては、ほんの少しの研究者が、このような科学普及をしていたにすぎませんでした。学界では、一般向けの解説者になることは、一流ではないことのように考えられていました。今でもそのような傾向が残っているかもしれませんが。博士は、そんな貴重な先駆者の一人でした。
 もうひとつの大きな感銘を受けた点は、彼が病気を押して執筆したことです。病気は、あまりに有名な話しです。ホーキング博士は、オックスフォード大学卒業後、ケンブリッジ大学大学院に入学しました。入学から1年後の1963年に「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)と診断されました。そして、余命2年と診断されています。当時、ALSは発症から数年で死に至るとされていました。治療の効果でしょうか、進行が非常の遅くなり、長年研究活動に従事されてきました。そんなALSの闘病中での執筆でした。執筆は不自由な状態で苦労されたと思います。
 そしてなんと76歳まで生きてこられました。ある時期から、意思伝達のためにコンピュータによる合成音声を利用されてきましたが、それもホーキング博士のアイデンティティになっていたように思います。
 ホーキング博士のご冥福をお祈りします。

・映画のホーキング・
2004年のBBC制作のテレビ映画「ホーキング」もありました。
私は、CSで見ました。
30歳位までの半生の物語です。
ベネディクト・カンバーバッチが
主演したことも有名になりました。
後の人生は、「博士と彼女のセオリー」で
描かれているようですが、私は見ていません。
いずれ見たいものです。

・アイス・バケツ・チャレンジ・
ALSで連想されるのは、
「アイス・バケツ・チャレンジ」です。
2014年にアメリカ合衆国で始まったALS支援運動でした。
有名人が、氷水を頭からかぶっている様子が
報道され、話題になりました。
これの活動はホーキング博士とは
直接関係がないかもしれませんが、
私には、関連付けられています。

2018年4月5日木曜日

4_147 登別の地獄谷

 3月の終わりに、校務の合間をぬって、久しぶり夫婦ふたりで温泉にいきました。車ですぐにいける登別温泉でした。初日に地獄谷を見学にいきました。何度か来ているのですが、ついつい地質に目がいってしまいます。

 先日、登別に久しぶり家内と温泉に浸かりにいきました。今年の北海道は雪解けも早く、3月下旬なのに高速道路は完全乾いていたので、走りやすくなっていました。昼にでて、途中で昼食をとったのですが、チェックインの3時より早くついてしまいました。暖かい日だったので、ホテルに荷物を預けて、温泉周辺を散策することにしました。
 登別は、地獄谷から大湯沼、倶多楽湖など、観光名所はいろいろあります。倶多楽湖と大湯沼の道は、閉鎖されていたでいくことはできませんでした。地獄谷へは入ることができるので、見学にいくことにしました。地獄谷の遊歩道には全く雪はなく、ハイヒールで歩いている外国人の女がいました。日陰や風は冷たいのですが、日なたは暖かいポカポカ陽気でした。ハイヒールの女性は、なんと半袖でいたので、家内ともども驚きました。
 春の陽気の地獄谷は雪がない分、地層の色合いがよく見えました。地獄谷を取り囲む山は、岩肌がでているため、地層の色がよく見えます。上部には腐食土でしょうか濃い茶色で、そしてだんだん茶色が薄くなってくる火山灰、一部黒っぽい溶岩を挟んで、淡い茶色からそして灰色の濃淡の火山灰へと変化していきます。単調な色合いが、地獄を想像させたのが地獄谷の由来でしょうか。地質学者には、結構いろいろな色が見え、それぞれの色の違いがどんな石や火山灰なのかが気になるところです。
 地獄谷には、温泉の湧いているところ、噴気のあるところが、多数あります。温泉が川の流れをつくっています。灰色の沈殿物のある流れと、硫化物でしょうか黄色から淡い黄色へと変化する沈殿物の流れなどもあります。温泉水にも、いろいろな成分の違いあることがわかります。これも地獄を思い浮かべる景観なのでしょうか。地質学者としては、こんな狭い地域に、温泉水で溶融物の違いあるということは、地下でどんな経路を経てきたのかが気になりました。
 木道の遊歩道を歩いていくと、行き止まりに間欠泉がありました。直径1mほどの池ですが、周囲にはいろいろな沈殿物の結晶ができてました。色も白、暗灰色、茶色などかなりカラフルです。その沈殿物の結晶もさまざまあり、なかなか面白いものでした。同じ鉱物の結晶だろか、それとも何種類かの結晶が混在しているのだろうか、気になりました。
 しばらく間欠泉が噴き出すを待っていたのですが、なかなか吹き出しません。諦めて帰ることにしました。ホテルと地獄谷の間に、泉源公園があります。この公園には、道路に下に間欠泉があります。行く時に見学したのですが、3時間ごとに50分ほど、8mほどの噴出するとのことで待つのは顕ました。行くときは静かだったのですが、帰途に運良く間欠泉が噴出していました。噴出しているのは、一面に水蒸気が漂っていることと轟音でわかりました。近づいていくと、硫化物の匂いがしていました。激しい温泉の噴出が、温泉街の中に起こっていました。
 夫婦で登別の観光を楽しみました。その登別の観光資源は、すべて火山に由来しています。火山の活動で温泉の経路が変われば、湧出量や成分も変わることもあるでしょう。登別の観光資源を支えているのは、活火山であることを忘れてはいけません。そして噴火に対する心構えや備えは必要です。
 家内との観光旅行のつもりでしたが、私は、ついつい地質や活火山を見ていました。

・温泉へ・
長男がこの春に独り立ちをして家を出ました。
また、3月下旬に次男がクラブの合宿で
1週間ほど出かけていました。
おかげで久しぶりに自宅で夫婦ふたりになりました。
子供が成長するまで、なかなか二人で
出かけることができませんでした。
、久しぶりに時間できたので、
夫婦で温泉でもいこうかということになりました。
家内が登別なら行きたいということなので、いくことにしました。
私は、時代村がいいかと思ったのですが、
家内は水族館に行きたいというので、
一泊して翌日にのんびりと水族館を見学しました。

・新入生・
大学はいよいよ新学期が始まりました。
今年は1年生の担任をすることになり
ゼミを持つことになりました。
久しぶりなので、戸惑いとワクワク感があります。
新入生は、最初はどれもこれも
はじめてのことばかりになります。
期待の反面、緊張と戸惑い、不安もあるでしょう。
来週からは授業もはじまります。
いろいろな先生のいろいろな授業、
大学特有のやり方など、
まだまだ緊張感や戸惑いがつづくことでしょう。
でも、教員として、新入生の期待を裏切らないように
精一杯勤めるしかありませんね。