2018年2月15日木曜日

3_163 ダイヤモンドの年齢 2:キンバーライト

 ダイヤモンドは、非常の特殊な条件を満たす場所が必要になります。でも自然界には、そのような条件を満たすキンバーライトがあります。そしてダイヤモンドは今でも採掘されています。

 前回、地球深部でダイヤモンドができる条件として、材料の炭素が多いこと、固い結晶をつくるためには高温高圧でなければならないこと、できたダイヤモンドが石墨に変わらないうちに高速で上昇してくること、などがあることを紹介しました。これらすべてを満たした時、宝石になるようなサイズのダイヤモンドが形成されることになります。そんな難しい条件を満たすものとして、キンバーライトと呼ばれる火山岩がありました。ここまでが、前回の話でした。
 キンバーライトは、大陸地域でも古い時代に形成された地域で活動しています。マグマの特徴としては、玄武岩よりもっと鉄やマグネシウムの多い成分で、カンラン岩質マグマと呼ばれるものです。このようなマグマは、マントル深部でできたものです。
 ダイヤモンドを含むキンバーライトは、地下150kmほどの深さのマントルで形成されたマグマが、高速で上昇してきたことになります。ガスの成分が多いマグマであれば、上昇とともに圧力が大きくなり、そのような挙動を示すことになります。他にも証拠として、形成された周辺のマントルの岩石(カンラン岩、エクロジャイトなど)を取り込んでいること、高速で上昇中に下部地殻の岩石を取り込んでいること、マグマの通り道が細い筒状(パイプと呼ばれる)になっていること、などが挙げられます。
 キンバーライトには、ダイヤモンド以外にも雲母や炭酸塩鉱物、蛇紋岩などを含んでいます。これらの鉱物の存在は、炭素以外にも二酸化炭素、H2O(水の状態とは限らない)などが多い場であったことを示しています。これらの成分は、軽くて揮発性の高い成分となります。二酸化炭素やH2Oは、キンバーライト・マグマをつくるのに必要だったと考えられます。
 ところが、揮発性成分は地球の初期に地球表層に抜けてしまい、現在のマントルには、少ないと考えられます。キンバーライトの存在は、現在のマントルとは矛盾した性質をもっていることになります。これらを説明するためには、古い時代の大陸地域にのみ、キンバーライトが活動しているという特徴が重要な意味を持つことになります。地球を形成史た素材には揮発性成分がもともと含まれていました。ですから、マントルには、地球初期にはもともと多く含まれていたと考えられ、時間とともに地表に出ていったとすれば、古い時代の大陸からだけダイヤモンドが見つかるという特徴も説明できます。
 ですから、もしダイヤモンドの年代測定をしたら、古い時代のものになるはずです。ダイヤモンドの年代は、30億年前くらい(太古代)に形成されたものだと考えられていました。ところが・・・、次回としましょう。

・端境期・
大学は、今がちょうと端境期(はざかいき)です。
後期の講義も試験、成績評価も終わりました。
学生には来週に公開されます。
大学入試の第一弾も終わり、
採点もすみ合否判定をして、合格発表となります。
4年生は、もう気持ちは社会に向いています。
でも、私のいる学科では2年生や3年生が
教育実習の準備でピリピリしています。
そんな端境期です。

・季節外れの帰省・
来週は忙しくなります。
週末から1週間ほど実家にもどります。
母といろいろ相談することがでてきたからです。
いろいろな相談がうまくできればいいのですが、
母も高齢なので順調に進むかどうが心配です。

2018年2月8日木曜日

3_162 ダイヤモンドの年齢 1:炭素

 昨年秋、ダイヤモンドに関するおもしろい報告がありました。ダイヤモンドができた年代は2つの時期があることがわかりました。それが新しい年代なので話題となっています。

 ダイヤモンドは、炭素からできている鉱物です。炭素が集まった結晶は、地表付近では石墨(グラファイト)という鉱物になります。石墨は炭素同士が六角形(六方晶系)に連なっているのですが、層状の構造をしており、層間は原子間に働く弱い力(ファンデルワールス力)で結びているため剥がれやすく、柔らかい結晶となります。爪で削れるほどの柔らかい結晶で、かつては鉛筆の材料として使われていました。
 ダイヤモンドは炭素が非常に強く結びついているので、硬い結晶となっています。炭素原子同士の結合なのですが、ひとつの元素を中心に正四面体の頂点にも元素が共有結合してます。このような結晶を等軸晶系晶と呼んでいます。天然のものでは、もっとも硬い物質です。その硬さのため、宝石としてだけでなく、工業用の研磨剤としても重要な役割があります。
 ダイヤモンドが地球で形成されるには、まず炭素が集まっていること、固く結びついた結晶になるために高い圧力や温度の形成場が必要になります。
 炭素は、地球の表層に多くあります。生物はそれを利用しています。ところが、地表の炭素の多いところは、温度圧力は低く、石墨や有機物しかできません。温度圧力を上げるような自然条件としては、隕石が衝突したような場でなければなりません。実際に隕石衝突のクレータでダイヤモンドが見つかっています。しかし、その量もサイズも小さいもので、宝石や工業用として利用できるものではありません。
 宝石として昔から利用されているダイヤモンドは、地下深部で形成されたものになります。炭素は地球深部にはあまり多くない元素ので、特殊は環境でないと形成されません。そのような場が少ないのですが、深部には存在しているようです。さらに、厳しい条件として、深いところでダイヤモンドができたとしても、石墨に変わることなく地表にまで上がってこなければなりません。通常の火成活動や造山運動などは、ゆっくりと上昇してくるので、ダイヤモンドの結晶は石墨に変わってしまいます。
 このようなダイヤモンドのできかたから、非常に難しい条件が整わなければならないです。実際にダイヤモンドが産出しているのは、限られた場所と、限られた岩石種からだけです。それは、古くに形成された大陸地域で、そこのみで活動したキンバーライト(kimberlite)と呼ばれる火山岩から見つかります。火山岩ですから、マグマが地表に上昇してきたものです。このマグマがダイヤモンドができる環境、条件を満たしているところをとなります。
 その説明は、次回としましょう。

・計画的に・
2月は、入試は採点などがあり、
なかなかお持ち使い時です。
でも講義がない時期なので、
研究に集中できる時期もあります。
2月は短いので、しっかりと計画や目標を定めて
仕事を進めなければなりません。
現在、次の著書の執筆を進めています。
並行はできないのですが、
次の論文も書き進めていく予定です。
ですから2月中の大物を概略を
終わらせておきたいのですが、
どうなることでしょうか。

・祝う会・
4年生と卒業を祝う会の準備を進めています。
毎年学科ではおこなっているのですが、
人数が毎年変わるので、
会場探しがなかなか大変です。
でも、今年は詳しい学生もいて、
皆積極的に動いてくれるので、
私は、見ているだけですみます。
4年生も、学生生活で最後のイベントなので
はりきっているようです。
うまくいくように願っています。

2018年2月1日木曜日

6_152 重さの単位 4:プランク定数

 質量の基準を、人工的な物質に頼るのではなく、物理定数に置き換えるために、人工的物質を精度良く測定ることが、おこなわれています。その測定から、定数を正確に決めていくことになります。

 質量を正確に測定するために、同位体組成がはっきりとしている元素(ケイ素)の単結晶の真球を基準にすることにしました。この真球の質量は約1kg、直径は約94mmですが、その質量とサイズを正確にはかっていきます。
 まず質量は、日本のキログラム原器と比較して、超高精度の真空天秤を用いて測定されました。ただし、このケイ素の球の表面には、非常に薄いのですが(数nm程度)の酸化膜などが形成されてしまいます。その膜の厚さと組成を決めて置く必要があります。そのために、X線光電子分光法と分光エリプソメトリーを用いたシステムを開発して、非常に高精度で厚さ(0.1nmの精度)と組成を測定していきます。純粋なケイ素でない部分のデータで測定して、補正をおこなっていきます。
 サイズの測定は、レーザー干渉計という装置を用いています。この装置は、レーザー光線で光の1波長より短いサイズとなる1nm以下を測定することが可能な装置でです。2000箇所(さまざまな方向から)で直径をはかっていきます。その精度は0.6nmになり、これは結晶の原子間の距離にあたるほどのものです。これにより球の正確な体積がわかります。
 もちろん温度が変化すると体積が変動するので、球の温度も精密に測定されています。その精度は、6/10000°Cとなっています。
 皮膜の補正をされた正確な質量、正確な体積から、密度が計算できます。ケイ素の結晶構造とモル質量は、すでに正確に測定されているので、その値を持ちれば、正確な質量が得られます。このようにして求められた精度は、2×10^-8になるといいます。この精度は、1kg当たり24µgになります。これは、国際キログラム原器の現状の精度が50µg程度(5×10^-8)だと考えられているのですが、それより半分以下の精度となります。
 質量を求めるのが目的ではないのです。その精度が重要になります。なぜなら、今回紹介した研究がケイ素の真球をキログラム原器の代わりにしようとするのではないからです。
 長さの単位が、メートル原器から、光が真空中を伝わる⻑さを基準になりました。光速という定数が、長さの基準になっていることになります。質量も同じように、物理定数に基準を移行しようと考えられています。
 その方法には、アボガドロ数に基づくもの、プランク定数に基づくものなど、いろいろなものがあります。アボガドロ数、またはプランク定数が、現在の質量の精度より正確に求められれば、それが質量の基準になるのです。
 今回の研究では、精密な測定からプランク定数を正確に求めることが目的だったのです。2.4×10^-8という精度は、現状では世界最高水準の精度で決定したことになります。キログラム原器以来、約130年ぶりとなる質量の定義が改定できることになります。その決定は、国際的に機関(国際度量衡総会)がおこなわれます。
 2011年10月の国際度量衡総会の時のデータは、当時もっとも精度のよかった値と、2つの測定値が7桁目で異なり一致しませんでした。そのため決定は見送られました。そしてこの会議のとき、「キログラムの大きさは、プランク定数の値を正確に6.62607XX × 10^-34Jsと定めることによって設定される。」ことが決められました。XXのところを正確に決めるということです。プランク定数を正確に決め、そこから質量を定義することにされました。
 今回のデータも含めて、いくつかの測定値をもとにして、今年2018年11月の会議で、プランク定数の値が決定されることになります。

・2月になると・
早いもので、もう2月です。
1月はセンター試験、大学の後期講義の終了、
学科の4年生の卒業研究の報告会、
そして定期試験も終わりました。
次は大学入試の時期となります。
バタバタしていますが、講義がないときなので
隙間時間に仕事ができるのが、ありがたいです。

・ライフワーク・
最近、研究上のライフワークとして
なにを今後していくのかについて再考しました。
そして、いくつかの修正を加えました。
いつもこの時期に自身の研究について
考えることにしています。
そのきっかけは、学内の競争的資金の申請が
この時期にあるからです。
それを獲得するために、
来年度の研究をどうするのかについて考えています。
長期計画と来年度の計画をいつもこの時期におこないます。
なかなか楽しい時期もであります。

2018年1月25日木曜日

6_151 重さの単位 3:ケイ素の真球

 重さは、なかなか厄介な単位でが、これまでキログラム原器を、なんとか使ってきました。しかし、新しい重さの単位への期待も高まります。新たに正確に決める方法は、これまでのすべての技術の集大成となります。

 現在の質量の単位は、正確にはかったオモリを基準したものです。でも、これはいろいろな問題があることを、前回までのエッセイで紹介しました。科学者たちも、この状態は十分に理解していてて、新たな方法を模索しています。
 他の方法もいろいろ考えられますが、かなり高度な技術が必要になります。安定した元素を基準にするのは、いい考えです。現在、元素一個を操作する技術はあります。しかし、1つの元素の質量を正確に測定する技術はありません
 ある一定量の元素を集めて、その数を正確に数えることができれば、理想の質量の単位にできるはずです。この方法は、原子量と1molを基準にすることで、今までのものとは全く違った考え方になります。
 原子量とは、相対的に決めた原子の質量です。どれかの元素を基準にして、その比率とります。例えば、水素は原子量が1とすれば、炭素は12となります。ただしこれは比率なので、質量にするには、原子をアボガドロ数(6.02214179×10^23)個、集めれ、1molとすれば質量になります。水素1molなら1g、炭素1molであれば12gとなります。同位体がある場合は、その比が正確にわかっていれば、補正は可能です。
 しかし、原子を10の23乗個分、正確に集めたり、その数を正確に数えるのは不可能です。そこで、体積から正確な元素の数を推定し、mol数を決めていきば、質量の基準になるという方法が考えられます。
 体積は、正確な長さの測定さえできれば、長さの精度に応じて決めることができます。ただし、正確な形状をつくって、体積から元素の数を正確に計算できる状態(物質状態)をつくっておく必要があります。
 基準とするには、ひとつ元素からできた均質な物質が必要です。さらに、元素の数を正確に決めるためには、原子が規則正しく並んでいる結晶、それも単結晶が理想的です。単結晶であれば、体積から元素の数を正確に見積もることができます。
 今回、報告されたのは、産業技術総合研究所の工学計測標準研究部門と同部門の質量標準研究グループ、物質計測標準研究部門、表面・ナノ分析研究グループが共同でおこなった研究の成果です。
 元素として、ケイ素(シリコン、Si)が用いられました。ケイ素は、原子番号14です。地殻中に多く、元素としても安定しています。自然界では、同位体として質量数28が92.18%、29が4.71%、30が3.12%という比率になっています。
 半導体物質としても利用されているため、既存の技術が応用できます。現在、純度としては、99.9999999999999%(15・9(Nine)が15個並ぶ)まで高める技術があります。今回の測定では、質量数28のケイ素だけを99.99%まで濃縮して、単結晶がつくられました。
 ケイ素の単結晶の形状を、真球にしています。その真球の凹凸が、正確に測定されました。その精度と結果は、次回としましょう。

・後期の講義の終了・
大学の後期の講義が全て終わり、
定期試験が始まりました。
学科では、卒業研究の報告会もありました。
今週は、校務の会議や打ち合わせ、
出張などがいろいろ校務が入り、
なかなか忙しい一週間となります。
でも、講義の負担がへることは
精神的にだいぶ楽になります。
隙間時間ではなく、集中して研究に没頭できます。
そんな貴重な日が2月ほど続きます。
今から、ワクワクしています。

・大学4年生の心は・
大学の後期の授業が終わると、
4年生の多くは、最後の大学生活の自由を
満喫するのでしょう。
気持ちの中には、
卒業してからの社会への不安と期待、
新しい環境への適応の不安と新天地へ期待
これまでの経験が、社会で試される不安
そして新たな体験への期待
いろいろな気持ちが混在しているのでしょう。
4年生の心は社会に向かいます。

2018年1月11日木曜日

6_148 重さの基準 1:水が基準

 体重を量るには体重計に乗り、重さを量るのはハカリを使います。当たり前のことですが、考えると疑問があります。例えば、ハカリの目盛りを、どのように決めているのでしょうか。目盛りの基準が正確になるかも知れないという報告がありました。

 重さを量る時の単位は、グラム(g)やキログラム(kg)です。重さには、物質が本来持っている属性としての「質量」という意味と、地球の引力(重力)のもとで量った「重さ」という意味もあります。
 同じ物を同じハカリを用いたとしても、違う天体で量ると、目盛りの指す値は違ってきます。これは、引力が違うからです。バネばかりを想像するとわかりやすいかもしれません。地球でも、場所によって引力が異なっているので、厳密に測定すると示す値が違ってきます。これが私たちがいつも量っている「重さ」というものです。
 もうひとつ、物理学で用いる「質量」というものがあります。「質量」は、物がもともと持っている属性です。動かそうとるするときの手応えとして感じるものです。宇宙のどこにいっても、この動きにくさは、その物がもっている本来の性質となります。
 では、質量の単位で1kgという値は、どう定義されているのでしょうか。これが今回の話題です。
 バネを利用したものだと、引力の影響を受けて、場所によって違ってきます。質量を量るときには、引力に影響されない方法を用いなければなりません。とはいっても、量る方法の仕組みは簡単です。質量の基準となるオモリがあれば、それと比べていけばいいのです。天秤とオモリを利用した量り方です。小学校でおこなった、上皿天秤を用いた量り方も、この方法です。
 では、オモリの質量は、どのようにして決めたのでしょうか。おおもとになったオモリのことです。ある時点で正確に量って決めなければなりません。
 かつての質量の基準は、水1リットルを1kgとしました。正確には、「最大密度における純水1リットルの質量」です。水の最大密度は、水温が4℃のときのものです。かつてはこの条件を満たしたものを重さの基準としていました。
 しかし、これにはいくつか問題がありました。
 質量を量る時には、4℃に設定した水1リットルを用意しなければなりません。これは大変な手間を要します。水を入れる容器も温度変化して体積が変わります。正確に量るには問題になります。
 さらに大きな問題がありました。大気圧下と温度を一定にした条件で量ることになるのですが、気圧や温度を正確に測定することが必要になります。ところが、気圧は質量が関与した単位となっています。質量の基準を決めるのに、質量を用いた条件が必要になります。ここに矛盾があります。
 この基準は問題があるので、1799年に変更され、現在の「キログラム原器」と呼ばれるものになりました。「キログラム原器」は次回としましょう。

・冬休み明け・
大学もスタートしました。
でも、すぐにセンター試験があるので、
講義は一時休講になります。
正月は終わって、急に慌ただしくなります。
これから3月までは、通常の授業に加えて
卒業研究の発表会や
いくつもの入試がはじまり、
慌ただしさが加わります。

・冬の雨・
北海道は冬になっても、
晴天率は少ないようです。
先日は、雪が降ったと思ったら、
雨が降りました。
この時期に雨は珍しいものです。

2018年1月4日木曜日

3_161 海の水の寿命 4:課題

 海水が6億年後にはなくなる、という推定を紹介しました。しかし、そこにいくつかの課題もあるようでうす。このような課題が、学界に議論を呼んで、科学を進めていくのでしょう。

 沈み込む海洋プレートにともなって、海水が地球深部に入り込んでいきます。一方、絞り出されて地表に火山などで戻ってくる水もあります。深部に入っていく水の量と戻ってくる量がわかれば、収支が計算できます。
 これまで沈み込む水は、海洋地殻に含まれているものだけによるものだとされていました。ところが、海洋プレートのマントル部分にも水が含まれることがわかってきました。マントルの含水量も見積もり加えると、かなりの水が地球深部に入っていくことがわかってきました。6億年後には、海水がなくなる可能性が指摘されました。
 ここまでは前回まで紹介したことでした。この見積もりには、いくつか問題があるように思えます。実は、似たようなモデルが、以前に唱えられました。
 6億年前ころから、地球の冷却が進み、沈み込む海洋プレートの含水鉱物が分解されることなく、地球深部に沈み込んでいくことになるという考えがありました。この時の証拠は、高圧変成帯の変成鉱物の時代変化をみていくと、明瞭な違いありました。6億年前ころから、海洋地殻の含水の変成鉱物が、地球深部にまで分解されずに入り込むことになります。そして、海水が一気に減少し、海水面が200mも低下したというモデルが唱えられたことがありました。
 その時、私は、いつかの課題があると考えました。ひとつは、マントルに急激に水が入り込むと、マントルの物性が変化しマントルの状況が変わること、その後もそのペースで海水が減っていくと海水がなくなってしまう可能性があること、などでした。これらの課題をどう解いていくかということになります。マントルに水が入ると対流の速度が変わったり、プレートの厚さが変わる可能性もあります。降下プルーム(コールドプルーム)の形成条件が変わり、それに連動して、大規模な火成作用の状況、海洋プレートの形成速度も変わっていくはずです。そのような異変は、地球史に記録されているはずです。それが検証されるかどうか、という疑問でした。
 今回のモデルでも、似たような疑問があります。海洋プレートへの水の浸透は、論文での現象であれば、いつでも起こりうることです。ですから、プレートテクトニクスで常に起こる現象なら、なぜ今も海水があるのか。現状に至るモデルとしてどのようなものがあるのか、気になるところです。
 現在の状態は動かしがたい事実です。もし海水が見積もり通りに減っているでのあれば、過去へ遡ると海水は昔ほど多くかったはずです。ある時以前は、地球は水惑星だったはずです。しかし地球には、陸地でしかできない地層が、38億年前から現在まで見つかっています。ですから、陸がすべて沈むほどの海水はなかったことになります。
 現在から過去の遡った時、ありえない過去が見えるのであれば、なにかが、どこかが間違っているはずです。ある時代に含水量に大きな変化があったのではないか、見積もり間違っていないかなど、議論すべきことろがあるはずです。
 しかし、このような新しいアイディアは、面白いものです。いろいろな議論を沸き起こして、その真偽の確認を進めてもらいたいものです。

・正月・
正月の三が日、我が家では朝に
お雑煮を家族で食べています。
元旦には初詣にもいきます。
元旦はよるは我が家では贅沢な食事を自宅でとります。
2日の夜は、知り合いの中華屋さんに
家族で食事にいきます。
3日は近くの温泉にいきます。
これらを毎年のようにおこなっています。
これが現在の正月の恒例となっています。
でも、家族の形態が変われば、
いずれは変わっていくのでしょう。
のんびりと三ヶ日を過ごしました。
北海道も雪は降りましたが、
比較的穏やかな、年の初めとなりました。

・英気を養う・
私は、4日から大学に出て仕事を初めていきます。
大学の講義は9日からスタートですが、
私には急ぎの仕事があるので、
それをこなさなければなりません。
そのための準備で早目にでています。
年末年始で、5日も、のんびりとした時間を過ごしたのは
昨年の正月以来でしょうか。
英気を養えました。

2017年12月28日木曜日

3_160 海の水の寿命 3:蛇紋岩の水

 海洋プレートのカンラン岩の部分にも、水が染み込む可能性がでてきました。すると、今までの海洋地殻だけの水の持ち込みとは、違った見積もりになってきます。海のどんな未来を、予測させるのでしょうか。

 これまでは、海洋地殻だけが、地球深部に水を持ち込んでいると考えられていました。海洋地殻の含水率は、重量で2.1%でした。これで地球深部に持ち込まれる水の量を見積もると、年間1.1×10^9トンとなります。
 海洋地プレートのマントル部のカンラン岩には、アウターライズ断層で水がマントルまで、染み込んでいることがわかってきました。もしそうなら沈み込む海洋マントルにも、水が含まれている可能性があることになります。
 そこで、海洋プレートを構成している海洋地殻や海洋マントルに、どの程度水を含むのかが問題となってきました。それは、海洋プレートが海溝で沈み込む時、地下深部に、どの程度水を持ち込むかということが基準になるからです。沈み込み中に水が絞り出されて、ある程度の地表に戻りますが、その量は見積もることができ、年間2×10^8トンと考えられています。ですから、沈み込む海洋プレート全体での水の量がわかれば、もとの水の量を引けば、地球深部に入っていく量が見積もれます。
 畠山さんたちは、カンラン岩が水を含んだ時できる蛇紋岩で、透水実験で調べていきました。千葉の嶺岡帯と海洋地域(パレスベラ海盆、マリアリ海溝、トンガ海溝)から得られた蛇紋岩の浸透率(含水率)は、重量で2.3%の水を含むことがわかりました。
 カンラン岩(蛇紋岩として)には、重量で2.3%の水が含まれています。従来のモデルでは、地球深部に持ち込まれる水の量は、海洋地殻の厚さが7km分で考えていました。しかし、水が染み込む可能性があるマントルの厚さは5kmほどあるので、それが加わることになります。厚さと浸透率から、地球深部に持ち込まれる水の見積もりは、年間は約2.3×10^9トンとなりました。
 海洋地殻だけでは年間1.1×10^9トンでしたが、海洋マントルも加わると年間2.3×10^9トンとなり、これまでの見積もりの倍以上の水が、地球深部に持ち込まれる可能性がでてきました。
 これらの見積もりから、海水の未来が導きだされました。現在の海水の量は1.4×10^18トンとなります。そこから年間2.3×10^9トンの海水ががなくなっていきます。すると、6億年間で海水がなくなるという見積もりになったのです。
 しかし、この見積もりに、いくつかの疑問があります。それは次回としましょう。

・年末は・
我が家での年末の行事は、
餅つき機による正月用の持ちをつくこと、
大晦日に年越しそばを食べることくらいです。
子どもたちは紅白歌合戦をみているようですが、
私はいつもの時間には布団に入っています。
実は、先週、すでにもちをついて家族で食べました。
しかし、実家の母がもち米を送ってくれるので、
昨年度の古いもち米を消費するためでした。
正月用のもちは、今年の新米のもち米でつくことにしました。
これは、30日につく予定です。

・好きこそ・
今年最後のエッセイとなりました。
大学の講義は26日で終わりました。
私はいつもと変わりなく、年末も大学で仕事をしてます。
締め切りに追われて、いつも仕事をしています。
正月も自宅で多分、いつものように
追われている仕事をしていることでしょう。
もしこれがノルマとして強制的に行われていたら、
ブラックな働き方になりますね。
でも、好きでやっていたら問題はないはずです。
皆様も良いお年をお迎えください。